ファンダメンタルズ&経済の基礎知識(11)ROEとは何か?
2023/08/21
ROEの意味とその見方
(4)ROE(自己資本利益率)
投資判断においては、企業が株主から受けた資金をいかに効率的かつ効果的に使っているかを見極めることが大切です。株主から株式を通じて集めた資金(株主資本)は自己資本となるので、ROEは株主資本利益率と呼ばれることもあります。
投資対象として検討する企業のROE(Return On Equity:自己資本利益率)を確認すれば、その企業が自己資本(株主資本:equity)を使ってどれだけ利益を上げることができてきたかを把握することができます。
ROEは「当期純利益÷株主資本×100」で計算できます。当期純利益とは税引前純利益から法人税、住民税、事業税等を差し引いた利益のことで、損益計算書に記載されています。
当然のことながら、基本的にはROEの値が高い企業ほど経営効率が高く、投資対象として好ましいと判断することができます。逆にROEの値が低い企業ほど経営効率が悪いので、それだけ投資対象としては不向きということになります。
ただし投資判断に当たっては、ROEだけに目を向けるのではなく、その企業が負債由来の資産も含めた総資産でどの程度の利益を上げているのかをみる指標、すなわちROA(Return On Asset:総資産利益率)にも併せて注目する必要があります。
あくまでも一般論的な目安ではありますが、日本の場合、ROEは10%以上、ROAは5%以上が投資対象としては望ましいとされています。ただし、ROEの水準は日本と欧米ではかなりの格差があるので、欧米企業への投資を検討する際には、投資対象として望ましいROEの水準を日本より高く設定しておくべきでしょう。