ファンダメンタルズ&経済の基礎知識(13)二つのGDP
2023/08/23
二つのGDP~名目と実質~
これまでGDPの意味や構成要素について述べてきましたが、実はGDPには、名目GDPと実質GDPという二種類があるので、注意しておきましょう。
それぞれの内容は、次の通りです。
名目GDP・・・単純にその年(or四半期)に産み出された財やサービスの付加価値物の
数量に市場価格をかけて算出した値。
実質GDP・・・名目GDPから物価変動(インフレまたはデフレ)の影響を調整した値。
いくら名目GDPが伸びたと言っても、インフレが加速している状況では、大して成長していなかったり、あるいは実際にはマイナス成長に陥っていることもないとは言えません。
また逆に名目GDPが多少下がっていたとしても、デフレ期においては、僅かながら成長していることも十分にありえます。
したがって、ある国や地域の経済が本当に成長しているかどうかは、名目GDPではなく、実質GDPの値や伸び率で判断するべきです。つまり、実質GDPの成長率が実質経済成長率となるわけです。
また、GDPは発表される時期によって、速報値、改定値、確報値の3種類があります。
速報値は、当面出揃った推計値やデータ等をもとに取り急ぎ発表される数値です。
改定値は、速報値の約1ヶ月半後に発表され、速報値の発表後に明らかになった数値も加味した上で算定されます。
確報値は、改定値をさらに丁寧に精査・検証したうえで発表される数値です。当然ながら、これら3つの数値の中では、確報値が最も正確な数値ということになります。
通例、速報値⇒改定値⇒確報値と段階を踏む度に多少の上方修正ないし下方修正がなされるので、これらの3つの数値がぴったり一致することはほとんど無いと言ってよいでしょう。