最新トレンド&トピックス(29)EUが中国製EVに相殺関税を検討する理由とは?
2023/09/14
EUが中国製EVに相殺関税を検討する理由とは?
2023年9月13日、欧州連合(EU)は、中国製電気自動車(EV)に対して相殺関税の導入を検討していることを発表しました。
相殺関税とは、WTO(世界貿易機関)の協定で規定されている加盟国に与えられた権利で、輸出国の補助金を受けた輸入貨物に対し、国内産業保護のために補助金額の範囲内で割増関税を課す制度です。
輸出国の補助金は、輸出価格を下げ、輸入国市場で競争力を不当に高める効果があります。そのため、輸入国の国内産業が不利益を被ることになりがちです。相殺関税は、このような不利益を回避するために導入された制度です。
EUは、中国政府が自国製のEVに巨額の補助金を支出していることで、EUのEV産業が不利益を被っていると主張しています。つまり中国製EVは、補助金によって価格が下げられ、EU市場で不当に競争力を高めているというわけです。
実際、欧州委員会によると、欧州で販売されるEVに占める中国製のシェアはすでに8%にまで上昇しており、このままいくと2025年には15%に達すると予想されています。正当な競争の結果、そうなるのならば、やむを得ない面がありますが、中国政府による不当な政策が介在するのであれば、それを放置するわけにはいかないということでしょう。
EUは、今後1年間かけて調査を実施し、中国製EVに相殺関税を課すかどうかを判断する予定です。こうした動きは、今後、日米をはじめ、他の西側諸国に広がることも予想されます。
by Tetsuya