最新トレンド&トピックス(30)アップサイクルとROEの関係とは?
2023/09/15
アップサイクルとROEの関係とは?
今話題のビジネス用語の一つに「アップサイクル」があります。
アップサイクルとはリサイクルとは異なり、既に使われている製品等をいったん原料レベルに戻すことなく、そのまま有効活用することにより、環境負荷の低減や経費の削減と共に、製品の付加価値を上げ、売上や利益率の向上につなげようとする取り組みのことを意味します。
アップサイクルと企業のROE(自己資本利益率)の関係は、大きく分けて以下の2つが考えられます。
1. 原材料費や製造コストの削減によるROEの向上
アップサイクルは、廃棄物や不用品を利用して新たな製品や素材を作り出すため、原材料費や製造コストの削減につながります。これは、企業の利益率の向上に直結するため、当然、ROEの向上にもつながりやすいことになります。
例えば、MRI(磁気共鳴画像診断装置)などの医療機器を開発・製造するフィリップ・ジャパンは、アップサイクルによって部品等にかかるコストを大幅に削減し、製品価格を上げることなく高度なシステムの導入を図り、より高性能な機器に生まれ変わらせて、売上向上につなげました。これにより利益率やROEの向上に成功していると言われています。
2. 新たな市場の開拓によるROEの向上
アップサイクルは、新たな市場の開拓につながる可能性もあります。アップサイクルした製品や素材は、通常の製品や素材とは異なる価値や魅力を持っているため、新たな顧客層の開拓につながる可能性があるのです。
例えば、古着や不要品をアップサイクルした製品を販売する無印良品は、アップサイクルによって新たな市場を開拓することに成功しつつあり、これにより、売上高と利益が拡大し、ROEの向上も期待されています。
もちろん、全ての製造業でアップサイクルが可能かどうかという問題はありますが、アップサイクルは、原材料費や製造コストの削減、高付加価値製品の開発、新たな市場の開拓など、企業の利益率や売上高の向上につながるため、ROEの向上につながる可能性が高い取り組みと言えます。
日本では今、東証が日本の上場企業に対してROEの向上に力を入れるよう要請していることもあり、これからは日本でもアップサイクルに取り組む企業が増えてくる可能性があります。
アップサイクルへの取り組みは、今後、製造業の銘柄選択の際に注目すべき点の一つと言えそうですね。
by Tetsuya with Trade master labo