ファンダメンタルズ＆経済の基礎知識（29）米国発の重要指標とは？

国の景気動向は、米国の各市場に限らず、極端に言えば、全世界の市場に影響を及ぼします。そのため、米景気をみる指標は、常に全世界の投資家たちから注目されます。

 

●　主な米景気指標を知っておこう

BRICsの台頭やデカップリング論の登場などに見られるように、世界経済において米国の影が薄くなる傾向にありました。しかし、2008年の米景気の後退はすぐに世界経済に波及し、世界全体を経済危機に陥れてしまいました。つまり、BRICｓ等の新興国の影響力は、米国のそれに比べれば微々たるものだったということがわかったのです。

 

したがって、投資のうえでも米景気動向をみることは非常に有益です。そこで、ここでは既に述べたCPI（消費者物価指数）や米雇用統計以外の、米景気をみる上で重要な指標を紹介します。

 

（１）小売売上高

小売売上高は、米国の消費動向をみる指標の一つです。百貨店などの小売業、約5000社を対象にアンケート調査を行い、その結果に基づいて算出されます。自動車販売については変動が激しいため、これを除いた数値も注視する必要があります。

　
（２）　消費者信頼感指数

消費者信頼感指数は、米国における消費マインド（消費者の購買意欲）を示す指標です。これにはコンファレンスボード（全米産業審議会）が発表する「消費者信頼感指数」や、ミシガン大学が発表する「ミシガン大学消費者信頼感指数」などがあります。

 

両指数とも、消費者にアンケートをもとに算出されますが、消費者信頼感指数のアンケート対象が５千人であるのに対し、ミシガン大学消費者信頼感指数のアンケート対象はその10分の1の500人とかなり差があります。しかし、コンファレンスボードの消費者信頼感指数に先駆けて発表されるため、市場からの注目度も比較的高くなっています。