ファンダメンタルズ&経済の基礎知識(35)米雇用統計を占う3つの指標

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ファンダメンタルズ&経済の基礎知識(35)米雇用統計を占う3つの指標

2023/09/28

米雇用統計を占う3つの指標

世界一の経済大国である米国の景気動向やFRBの金融政策等が、日本株を含めた世界の株価や為替相場に大きな影響を与えることは言うまでもありません。そして、米国の景気動向やFRBの政策スタンスを見極める点で米雇用統計は最も重要な指標の一つと言われています。

 

ところで、この雇用統計を占うのに役立ついくつかの指標があるのをご存じでしょうか。今回はそのような指標として、新規失業保険申請者数、失業保険継続受給者数、ADP雇用統計の3つを取り上げて簡単に解説したいと思います。

 

(1)新規失業保険申請者数

これはその週に初めて失業保険給付を申請した人の数です。この数値が減少すると、労働市場において雇用が順調に伸びていると判断されます。新規失業保険申請者数は、雇用統計の前に公表されます。そのため、新規失業保険申請者数が減少すると、雇用統計の非農業部門雇用者数も増加する可能性が高くなるとの見方が強まります。当然、逆に新規失業保険申請者数が増加すると、それとは反対の予想が優勢となります。

 

(2)失業保険継続受給者数

これは、失業保険給付を継続して受給している人の数です。この数値が増加すると、企業の雇用意欲が減退しつつあると判断されます。失業保険継続受給者数も、雇用統計より前に公表されます。失業保険継続受給者数が増加すると、雇用統計の非農業部門雇用者数も減少する可能性が高くなります。当然、逆に失業保険継続受給者数が減少すると、雇用統計の非農業部門の雇用者数が増加するとの予想が強まります。

 

(3)ADP雇用統計

これは、米国の給与計算代行サービス大手のオートマチック・データ・プロセッシング社のデータを利用して算出・公表する雇用統計です。雇用統計の2営業日前に公表されます。そのため、ADP雇用統計が好調な場合、雇用統計の非農業部門雇用者数も増加する可能性が高くなりますし、逆の場合には、非農業部門雇用者数の減少するとの予想が強まります。

 

もちろん、これら3つの指標は相互に関連して捉えることができますが、あくまでも別の指標であるため、必ずしも同一傾向を示さない場合もあります。とはいえ、雇用統計の数値を予想するには、この3つの指標を総合的に勘案することは有意義と考えられます。

 

雇用統計は、毎月第1金曜日に公表されます。この指標は、米国の労働市場の状況を最も包括的に示すものあり、投資家が最も注目する指標の一つです。今回解説した3つの指標を踏まえながら、雇用統計の発表に備えておくことは様々な相場動向を占う上で有益と言えるでしょう。

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