最新トレンド&トピックス(6) ペントアップ・ディマンド
2023/08/08
最近、経済ニュースなどに接すると、時々、ペントアップ・デマンドという言葉を見聞きするようになりました。しかし、経済ニュースなどでは詳しく解説する時間がとられていないためか、その意味を正確に理解していない人も少なくないようです。そこで今回は、このペントアップ・デマンドの意味について解説してみたいと思います。
まずペントアップですが、これは英語の pent up から来ています。pentはpen(閉じ込める)の過去分詞で「閉じ込められた」という意味です。pent up となると、さらに意味が強調されて「抑圧された」とか「鬱積した」という意味にります。
そしてデマンド(demand)は需要のことなので、pent up demandを直訳すれば「抑圧された需要」、あるいは「鬱積した需要」という意味になります。ただそれでは何のことかよくわからないかもしれませんね。
このあたりで正確に定義しておきましょう。ペントアップ・ディマンドとは、不況等による将来不安やコロナ等の疫病の蔓延などのために長く抑えられてきた需要ということになります。経済用語としては、消費されないまま未来に繰り越された需要であることに着目して、「繰越需要」と訳されることが多いようです。
ところで、日本経済はようやくコロナ禍を脱し、その時期に鬱積した需要、すなわちペントアップ・ディマンドが徐々に顕在化しつつあります。そのため今後しばらくは消費が堅調になるとの見方があり、大なり小なりそうした傾向が続くとみる向きも多いようです。いずれにせよ、それが今後どのような規模でどの程度の期間続くのかを見極めることが今後の日本経済の方向性を予測するうえで非常に重要なポイントの一つになると考えられます。
By Tetsuya