最新トレンド＆トピックス(17)　自然利子率

米国の長期金利は今、4％台半ばに迫ろうとしています。

 

ニューヨーク連銀のスタッフがブログで「自然利子率」という言葉を使って問題提起しました。自然利子率とは経済活動に対して引締め的にも緩和的にも作用しない中立的な実質金利の水準を意味します。その意味で、自然利子率は「中立金利」とほぼ同義とされています。

 

現在FRB（連邦準備制度理事会）は、インフレを加速も減速もさせない名目中立金利を2.5％と見積もっています。これは現在0.5％程度と想定されている自然利子率に物価目標の2％を足したものと考えられます。

 

そのためFRBは政策金利が2.5％を超えると、金融引締め政策という評価をしているとみられます。ただし、ここにきてこの自然利子率が0.5%という想定が正しいのかどうかという点に疑問の声も出てきているようです。

 

もし自然利子率が0.5%よりはるかに高いとみる向きが増えれば、政策金利もそれに応じて上げるべきとの議論が巻き起こる可能性もないとは言えません。ジャクソンホール会議でパウエル議長が自然利子率をもっと高く想定すべきとの考えを示唆したりすると、今後、政策金利の上昇圧力が高まるかもしれませんね。