最新トレンド&トピックス(26)中国のiPhone排除の影響とは?
2023/09/08
中国のiPhone排除の影響とは?
9月7日の米株式市場では、アップル株が連日の大幅安を記録しました。原因は、ご承知の通り、中国政府が政府機関や国有企業の職員に対し、同社の主力製品である「iPhone」などの使用を禁止したと報じられたことにあります。
この報道により、アップルの時価総額は2日間で約1900億ドル(約28兆円)も減少しました。日経新聞によると、この金額は、日本企業で2位につけるソニーグループの1.8倍の企業価値に相当するとのことです。
これほどの巨額の企業価値がわずか2日という短期間で失われたことが、今回の中国政府の措置の重大性や影響力の大きさを物語っています。
実際、アップルにとって中国は最大の市場の一つであり、中国や香港などを含むいわゆる「中華圏」の売り上げが同社の総売上の実に約2割を占めていると言われています。
中国がiPhone排除に動いた背景には、米国による半導体規制への対抗の意図があることは否めません。そして、今回中国がiPhone排除へと舵を切れたのは、中国企業が5Gに対応できる7ナノレベルの高性能半導体を自前生産できるようになったからとの説があります。
しかし、米国がこれまで日本やオランダや台湾などを巻き込んで、中国への高性能半導体やその関連装置等の輸出を禁止してきたことを考えれば、中国が高性能半導体の自前生産をこれほど短期間で実現できることは通常考えられないことですから、その技術取得の裏に不透明さが残ります。
おそらく米国はこうした動きを受けて、今後なんらかの不正が見つかれば、HUAWEIや中国半導体大手のSMICなどへの締め付けをいっそう強化することになるでしょう。
by Tetsuya