ファンダメンタルズ&経済の基礎知識(28)米住宅関連指標の重要性(3)
2023/09/14
住宅関連指標と資産効果の関係とは?
何度も申し上げていますが、住宅関連指標は個人消費の動向を占うカギの一つとなります。そして、住宅価格指標の推移で個人消費の動向がある程度予測できるとされる理由の一つに「資産効果」があります。
例えば、住宅価格が値上がりすればその資産価値が上がり、「資産効果」が働きやすくなります。資産効果とは、株式や土地などの価格上昇によって、自分が保有する資産の価値が上昇した結果、消費が拡大する効果です。
つまり、評価額が上がった住宅を保有している消費者は、その住宅を担保にして多額の資金を借り入れることができるので、自動車等の高額消費財の購入費用に充てることができるようになるというわけです。
一方、住宅などの価格が下落すると、資産価値が下がり、「逆資産効果」が働きやすくなります。逆資産効果とは、保有資産の価格が下落することにより、資産価値が減少したとみなされ、消費者が高額の消費等を控える現象を言います。
このようなことから、住宅価格と消費動向は密接な関連性があると言われているのです。
実際、かつてサブプライム問題が発生した直後から、特に米国の住宅価格は大きく下落し個人消費もしばらく低迷を続けましたが、S&Pケース・シラー住宅価格指数が底値に入ったとされる2009年2月ごろから、米国の個人消費が徐々に回復に向かったことが明らかになっています。
世界一の経済大国である米国のGDPの約7割を占める個人消費の動向が、米国のみならず世界の様々な市場の相場にかなりの影響を与えることは言うまでもありません。