ファンダメンタルズ＆経済の基礎知識（33）地政学的リスクとは？

地政学的リスク（geopolitical risk)とは、ある特定の地域において、地理的条件や政治的問題が複合的に絡み合って生じるリスクです。それは、その特定の地域だけではなく、世界経済に悪影響を及ぼす可能性もあります。

2005年に、当時FRB（米連邦準備理事会）の議長を務めていたグリーンスパン氏が、米国のイラク攻撃により世界経済に生じるリスクを説明するために用いたのが最初とされています。

 

地政学とは、政治や国家の特性と地理的な条件との関連性を研究する学問です。つまり、地政学的リスクは、その国の政治的な状況や国家全体の考え方に関連して起きることが多いのです。

 

地政学的リスクが高まれば、テロや地域紛争等への懸念から原油価格などの高騰が起きる可能性も高まります。

 

また地政学的リスクが生じた国や地域の通貨、あるいはそれに多大な悪影響を受けやすい国や地域の通貨は売られる傾向にあります。それらの国の通貨を持っていれば、いつ価値が大幅に急落しないとも限らないからです。したがって、そのような国からは投資資金が流出しやすくなるのです。

 

日本は貿易立国と言えるほど貿易依存度の高い国ではありませんが、地政学的リスクの高まりは、その場所や規模によっては、日本経済にも多大な影響を及ぼすことがあるので、常に注意が必要です。