最新トレンド＆トピックス（７）

中国税関総署が8月８日に発表した２０２３年７月の貿易統計（ドル建て）によると、輸出は前年同月比１４．５％減の２８１７ドル（約４０兆円）にまで落ち込んだ。特に対米輸出は23．１％と大きく落ち込み、欧米におけるデリスキング（リスク回避）の影響を指摘する声も出始めている。

今回で３カ月連続のマイナスとなっていることからみて、中国の輸出力がジワジワと低下している可能性も否定できない。また、新型コロナウイルスの影響が最も強く出た２０２０年２月（４０．６％減）に次ぐ下げ幅である点も気になるところである。

輸出の低迷の原因の一つにPCなどの「巣ごもり需要」がしぼんだことなどが挙げられているが、一時的な現象と楽観視するべきではないだろう。輸出の減少幅が輸入の減少幅（１２．４％）を上回っていることから、貿易黒字が２割も低下した。

中国国内では相変わらず不動産不況が続いており、また失業率も上昇傾向を示し、内需の低迷は避けられない状況である。実際、7月のCPI（消費者物価指数）は前年同月比で０，３％下落した。今後ともこうした傾向が続けば、中国経済のデフレ傾向にいっそう拍車がかかる可能性もある。

By Tetsuya